アンケート調査報告書のタイプについて

リサーチワークスでは調査報告書(レポート)の作成のみもお受けしています。そこで気づくのは「アンケート調査報告書」のイメージが千差万別である、ということです。調査報告書を自分で作成する場合も、調査会社に依頼する場合も、どのような調査報告書の作成するかを明確にしていただくほうが良いものができます。そこでおもな報告書の種類について見ていきます。

なおアンケート調査の結果について、どのように分析するかは、調査の企画・設計段階である程度決まってしまいます。調査報告書の作成段階でできることが限られいてることは理解しておく必要があります。

目的から見た種類

<タイプ1>アンケート調査の記録

最もシンプルなのはアンケート結果を記録するもので、最も基本的なものです。どのような調査をして、どのような結果になったかをアンケート調査の当事者でなくてもわかるようにします。必ずしも第三者向けということではなく、例えば会社内での情報共有や後日の参照を目的とすることもあります。

この場合最低限必要なのは、調査目的、調査対象、調査実施時期、調査方法等を記した調査概要と集計表です。グラフやコメントを付ける場合もありますが、必須ではありません。コメントは調査結果について、正確・客観的に伝えるようにします。基本的には集計表やグラフをみればわかるようなものになりますが、調査結果を読み間違えることがないような配慮が求められます。

一般にこのタイプの報告書は、当たり前のことを書いていて誰にでもかける、つまらないものとされることが多いのですが、実際はそうではありません。調査結果から得られた事実を正確に記述することが求められます。客観的な事実の上で分析なり解釈をしていく必要があり、そのための基礎となるものですので、ある程度経験が必要です。

<タイプ2>アンケート調査結果の分析

最も一般的なアンケート調査結果のまとめ方です。グラフを中心にコメントをつけていきます。コメントは基本的に<タイプ1>同様の客観的なものです。これはあくまでもアンケート調査報告書の基本が調査結果を忠実に記録し、伝えることが目的であるからです。

このグラフ+コメントだけでは、アンケートから解釈できる内容の記述がなくなります。必要に応じて解釈した内容やアンケート結果から導かれる仮説なども記載します。ただしこの場合でも事実と分析や解釈がわかるようにしなくてはいけません。

例えば、“顧客満足度調査の結果は満足度が65から80まで改善した。自由回答ではこれまで要望が多かった品ぞろえについて改善が進んだとの声が多く、品そろえの改善が顧客満足度の改善につながったと考えられる”というコメントは「顧客満足度が改善」「自由回答で品そろえについて改善の意見が多い」という客観的な事実を元に「品そろえの改善が顧客満足度に貢献した」と分析(解釈)していることがわかります。

これを“これまで顧客から要望の多かった品ぞろえの改善により、顧客満足度調査の結果は満足度が65から80まで15ポイント改善した”とコメントすると、「品ぞろえの改善によって顧客満足度が改善した」ことが事実のように感じられてしまいます。これではアンケート調査の報告書のコメントとしてはあまり適切ではありません。

コメントについて客観性を明確にするために、アンケート調査の質問毎のページは客観的な記述にとどめ、「調査結果の分析」などの分析編や「調査結果のまとめ」などのサマリーのページを作成し、調査結果から読み取れる内容などについて記載することもお勧めできる方法です。

<タイプ3>アンケート調査結果+α

アンケート調査結果だけではなく、他の情報を付加して分析をするものです。例えば新規事業のためにその事業の需要について調べるといった場合、その新規事業についての情報などアンケート調査以外を盛り込んで分析するようなケースです。

アンケートがメインの場合でも、既存の調査結果などを元に不足している情報を収集した場合などは、元の情報を含めて分析することがあります。

このタイプの場合はアンケート調査会社に丸投げ、では良い報告書ばできません。面倒でも社内事情や調査に至ったきっかけなどを説明する必要があります。その他にも情報開示や必要な資料の提供などの協力が望ましいと言えます。

形式から見た種類

ワードかパワーポイントか

報告書を作成するソフトとして多いのはワードとパワーポイントです。その他ではエクセルやDTPソフトなどが使われることがあります。

ワードで報告を作成するメリットは、文書としてのまとめやすさです。文字の大きさも同じですし、図表番号を入れたり、目次の作りやすさなど冊子化するときも便利な機能が多くなっています。以前はグラフの表現などに課題がありましたが、現在では基本的な円グラフや棒グラフ、折れ線グラフなどは問題なく作れます。また多くの人が持っているので共有しやすいのもメリットです。デメリットは、散布図等一部のグラフが単独では作れないことです。A4横で”パワーポイント風”に作ることも可能ですがA4縦でページ数の多い報告書に向いているといえます。

これに対してパワーポイントは、グラフを中心にした報告書に適しています。報告書をプレゼンに流用することも容易です。一方で長い文書を読ませるのにはあまり適していません。あくまでもグラフ中心の報告書が適しています。

なお、エクセルについては昔はよくつかわれましたが最近ではあまり利用されていません。理由としては文字の調整が難しいことがあげられます。特に自由回答の一覧などでは文字が見切れてしまうことがしばしば生じます。これを避けるためには余白を多くとることになりますが、トライアンドエラーを繰り返す必要がありますし、環境によっても変わってくるので余裕を持たせると”間延びした”レポートになることがあります。

カラーかモノクロか

最近はカラーでの作成が多くなっています。単純にきれいですし、色をうまく使うとわかりやすくなります。最大のデメリットは印刷をする際のコストが高くなることです。最近では報告書の印刷をしなくてもファイルでの共有も多くなっていますが、印刷をする必要がある場合は配慮が必要です。白黒でも印刷する場合にはコントラストに気を付けるなどの対応が必要です。

モノクロの報告書は最近では作成が少なくなっていますが、上記のとおり印刷時のコストメリットから作成を依頼されることも多くなっています。カラーのグラフをモノクロ印刷すると、ハーフトーンで出力されますが、プリンターの多くはハーフトーンがあまりきれいではありません。モノクロの場合は、グラフの塗り分けをパターンで指定することもあり、モノクロ印刷の場合はカラーで作成されたものよりきれいに印刷できます。

カラーで報告書の作成をすることが多いと思いますが、モノクロの方が適しているケースもまだまだあります。上記のメリット・デメリットを確認の上決めることをお勧めします。

まとめ

アンケート調査の報告書にもいろいろなパターンがありますので、考えながら作成することが必要です。現在の一般的な報告書の形は<パターン2>で、グラフはカラーとなります。作成するソフトはワードかパワーポイントのどちらでも良いと思いますが、エクセルでの作成はお勧めしません。

報告書の作成を委託する場合も上記のパターンを意識するとスムーズです。パターン化が難しい場合、最も簡単で確実なのは調査報告書の事例を示すことです。過去の報告書をみせながらここを改善したい、とか、インターネット上の報告書を例にこういった報告書にしたい、という依頼方法がおすすめです。